科目名 (英語表記) |
比較政治1 (Comparative Politics 1) |
担当教員 |
木場 紗綾 准教授 |
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定 員 |
若干名 | 単位数 |
2 |
大学名 |
神戸市外国語大学 | 連絡先 |
教務入試班 TEL:078-794-8133 E-mail: kyomu@office.kobe-cufs.ac.jp |
開講学期 |
前期 | 開講期間 |
4月10日~8月5日 |
曜日・時限 |
木曜3限 | 教 室 |
未定 |
履修条件 |
昨年度以前に受講して単位を得た人は受講不可 | キャンパス |
なし |
授業形態 |
対面授業 |
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授業方法 |
講義 | ||
学習目標 |
社会科学的なものの見方を身につけることを目標とする。「なぜ」という疑問をもとに、論理的に原因を推論している先行文献に多数触れ、受講生自らがそのような思考を経験することを目指して授業を組み立てている。 | ||
授業概要 |
比較政治学(Comparative Politics)は、世界各国の国内政治を分析対象とし、「なぜ」という疑問をもとに、原因を推論する学問である。前期のテーマは「民主化の進展と停滞」である。開発途上国の貧困は、経済構造だけではなく、政治体制や、民主的なルールが守られない政治文化にも深く起因する。いまだに多くの国では、社会に汚職や不正が蔓延し、権力者による利権の独占、ネポティズム(身内びいき)が常態化し、公共の財やサービスが公平かつ効率的に国民に分配されず、開発協力援助のプロジェクトがゆがめられたり、非効率であったりといった「ガバナンス」の問題が共通してみられる。それはなぜなのか。あるいは、選挙制度はあるものの、一部の指導者が長年にわたって強権的な統治を続ける国が存在するのはなぜか。市民はどのような時に、異議申し立てを行うのだろうか。本科目では発展途上国に焦点を当て、民主主義とガバナンスをめぐる主要な理論や論争を整理する。そして、民主化が進まなかったり民主主義が定着しなかったりする国々が「なぜ、そうなのか」を、歴史と制度の両面から考察する。 | ||
授業時間学習 以外の学習 (準備学習含む) |
レポートには早めに着手し、まず、問いを定めること。文献や資料に、精力的に目を通すこと。 アカデミック・ライティングのマナーを身に着けることは前提とする。 |
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評価方法 |
期末レポートで100%評価する。出欠は確認しないが、期末レポートは「比較政治」の考え方を理解しているかを確認するものであるから、授業を聴いて理解していない学生には上記レポートの執筆は困難であると思われる。レポート論題や字数、締め切り、評価基準などは、第1回の授業時に提示するが、おおむね次のようなものを想定している。 ――――― ①以下から1つ以上の概念を選び、②先行研究を引用しつつその概念を定義し、③操作化された客観的な測定指標を1つ以上提示し、④そのテーマについて一見不可思議な 「パズル」である「なぜ」または「どの条件が」(whyまたはwhat makes…)」で始まる問いを立て、⑤その「問い」に答えようと試みている先行研究(アカデミックな書籍や論文、信頼に足る専門家の論考、シンクタンクの論説記事、大手新聞社の論稿など)を2点以上引用して論述せよ。 なお、2つ以上の国や地域を選択する必要はなく、1つの国や地域について論じて構わない。本科目の重点は「比較する」ことではなく「原因を推論する」ことにある。【概念の選択肢::汚職、汚職撲滅、ネポティズム、民主化、民主主義の定着、民主主義の後退、権威主義の強化、ガバナンス改革、ガバナンス支援】図表や参考文献リスト、脚注を含まず3,000-5,000字程度。執筆者自身の考えの主張は不要。アカデミック・ライティングのルールを踏まえ、先行研究を丁寧に引用すること。レポートを提出したからといって単位が取得できるわけではない。なお、期末レポートに関する相談会を何度か、対面およびオンラインで実施する(参加自由)。 |
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教科書 |
教科書は指定しない。必読資料および入手方法は、随時、授業で指示する。 | ||
参考書 |
川中豪(2022)『競争と秩序』白水社. 粕谷祐子(2014)『比較政治学』ミネルヴァ書房. 川中豪・川村晃一編(2019)『教養の東南アジア現代史』ミネルヴァ書房. 小山田英治(2019)『開発と汚職: 開発途上国の汚職・腐敗との闘いにおける新たな挑戦』明石書店. |
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特記事項 |
講義では、日本の政治・社会にも言及するし、途上国に対する国際協力、開発援助、人道支援、安全保障といった国際政治のテーマにも言及する。とりわけ、国際協力論(援助論)の先行研究や実践について多く言及するので、そうしたテーマに関心を持つ学生の参加を歓迎する。政治学に関する基礎知識の有無は問わないので、ぜひ、幅広い層の学生に受講してもらいたい。 | ||
授業計画 |
以下のテーマを扱う。時事問題に多く言及し、受講生の関心に応じてテーマを入れ替えることもある。 第 1 回 イントロダクション:比較政治とは何か 第 2 回 開発途上国の政治:汚職を研究する 第 3 回 なぜ貧しい国はなくならないのか① 社会的実験の紹介 第 4 回 なぜ貧しい国はなくならないのか② 社会的実験の紹介 第 5 回 選挙不正と制度外行動 第 6 回 クーデター① 第 7 回 クーデター② 第 8 回 民主主義と権威主義 第 9 回 ガバナンス 第10回 国際協力政策の変遷とガバナンス支援 第11回 外圧としての民主化と「グッド・ガバナンス」 第12回 ネポティズムと官僚制 第13回 レポート執筆に向けて① 第14回 レポート執筆に向けて② 第15回 総括 |
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申込方法 |